脱炭素社会に向けた取り組み

当社グループは、「PILLARグループ環境方針」の下、気候変動をはじめとする環境問題への取り組みが人類共通の課題であると認識し、企業の社会的責務を自覚し、「良き企業市民」として地球環境保全に積極的に取り組んでいます。特に、脱炭素社会の実現に向けて、自社の事業活動におけるCO2排出量削減と、製品・サービスを通じた社会全体の温室効果ガス(GHG)削減に貢献することで、社会と企業の持続可能な発展を目指します。

脱炭素社会に向けた移行計画

          

■CO2排出量削減目標

当社グループは、パリ協定の目標達成に貢献するため、2023年度を基準年とし、2050年度には排出量「実質ゼロ」を目指す目標を設定しています。これらの目標達成に向けて、省エネルギー活動の推進や再生可能エネルギーの導入など、具体的な施策を段階的に実施しています。

                                                                                                        
基準年 2023年度(14,861 t-CO2
短期目標: 2025年度のCO2排出量を2023年度比「25%以上削減」
中期目標: 2030年度のCO2排出量を2023年度比「50%以上削減」
長期目標: 2050年度のCO2排出量「実質ゼロ」
                    

Scope3の削減目標については、当社グループにおいて最も排出量が大きいカテゴリ1(購入品)の削減施策策定にむけてサプライヤーとのコミュニケーションを強化しております。

          

■カーボンニュートラル実現に向けたロードマップ

               

2050年の「実質ゼロ」の達成に向けて、短期・中期・長期の時間軸に沿った具体的な施策を計画しています。省エネルギー活動や設備更新などの継続的な取り組みに加え、再生可能エネルギーの導入拡大、化石燃料からの転換、そして最終的にはカーボンクレジットの活用など、段階的なアプローチで確実な排出量削減を目指します。

■現在の進捗状況

2023年度のCO2排出量は14,861t-CO2となりました。タンケンシールセーコウのグループ入りに伴う算定範囲の変更や電気事業者排出係数の増加により、前年度比で増加していますが、各拠点における省エネ活動や自家消費型太陽光発電の本格稼働、CO2フリー電力の調達量増加など、カーボンニュートラル施策を着実に実施しています。2024年度は新たに2拠点で自家消費型太陽光発電を本格的に運用開始したことから、再生可能エネルギー比率が向上しています。 当社グループのCO2排出量の推移は、「サステナビリティ・データ集」をご覧ください。


脱炭素に向けた具体的な取り組み

          

■省エネルギー活動

当社グループの各拠点では、エネルギー使用の効率化と無駄の削減を目指した省エネルギー活動を積極的に推進しています。生産設備の運用改善や高効率機器への更新、照明のLED化、空調設備の最適運用など、日常的な省エネ活動から設備投資を伴う中長期的な取り組みまで、幅広い施策を実施しています。

          

■再生可能エネルギーの導入

CO2排出量削減の重要な施策として、再生可能エネルギーの導入を積極的に進めています。三田工場や福知山事業所など4つの工場の5つの建屋に自家消費型太陽光発電設備を設置し、運用しています。また、電力調達においてもCO2フリー電力メニューの採用を拡大し、再生可能エネルギー比率の向上を図っています。

          

■社内炭素価格制度

当社グループでは、低炭素投資の促進と気候変動リスクへの対応力強化を目的として、社内炭素価格制度を導入しています。9,200円/t-CO2(2021年10月時点)の価格を設定し、設備投資や事業計画の意思決定プロセスにおいて、CO2排出量に伴う将来的なコストを可視化しています。この制度により、省エネ設備や再生可能エネルギー設備への投資判断を促進し、中長期的な視点での脱炭素化を推進しています。今後も国内外の炭素価格動向を注視しながら、適切な価格設定と運用を行っていきます。



サプライチェーン全体での取り組み

          

■Scope3排出量の算定と削減

当社グループでは、自社の直接排出(Scope1)と間接排出(Scope2)に加えて、サプライチェーン全体での排出量(Scope3)の算定と管理を進めています。2023年度のScope3排出量は149,077t-CO2となり、前年度比で増加しました。これは、タンケンシールセーコウのグループ入りに伴う算定範囲の変更や、新設工場関連の消耗品・固定資産の影響によるものです。特にカテゴリ1(購入した製品・サービス)がScope3全体の60%以上を占めていることから、サプライヤーとの協働による排出量削減を重点的に進めています。今後も算定精度の向上と削減施策の実施に取り組み、サプライチェーン全体での脱炭素化を推進していきます。

          

■ステークホルダーの皆様との協働

当社グループでは、気候変動問題の解決に向けてサプライチェーン全体で取り組んでいくことが不可欠であると考えております。お客様や取引先様、地域社会など、さまざまなステークホルダーの皆様と対話や協働を行い、2050年度のCO2排出量「実質ゼロ」実現に向けて連携して取り組んでまいります。

          

■取引先様との対話・協働

当社グループでは、持続可能な社会の実現に向けて社会からの要請に対しサプライチェーン全体で取り組むため、取引先様との円滑な調達に向けた「PILLAR CSR調達ガイドライン」を制定し運用しております。気候変動問題の解決においても協力して取り組んでいくため、CO2削減目標達成に向けた活動を含む環境保全に関する項目を掲げております。


【PILLAR CSR調達ガイドライン 3.環境保全に関する項目】

a) CO2削減目標を達成するための諸施策と実行

地球環境の保全が人類共通の最重要課題であるとの認識のもと、企業活動の必須条件として環境への取り組みを積極的に推進する。

b) 化学物質自主点検活動の取り組み

環境パフォーマンス向上ならびに環境負荷物質の適正管理に取り組む。

c) グリーン調達基準の発信

グリーン調達基準書を策定し製造現場に至るまで伝達する。

d) 取組状況把握と改善に向けたフィードバック

取引先様の取り組み状況の把握と改善に向けたフィードバックを実施する。

e) 国際規格・国際法令への適合

ISO14001、REACH 規制、RoHS 指令などの適合にも積極的に取り組む。


また当社グループでは、取引先様とのエンゲージメントに向けて年に1回「取引先方針説明会」を開催しています。説明会の中では、当社グループのCSR調達に関する方針、品質方針などに関する説明のほか、気候変動問題に関する概要や当社グループの取組み、Scope1,2,3の算定内容などを説明し、気候変動やGHG算定に関する知識向上にも努めております。加えて、取引先様のCSR活動体制や法令遵守、人権や環境保全に関する状況を把握するため、2021年度より、主要な取引先様に向けて年に1回CSR調達アンケートを実施しています。環境保全については、温室効果ガス排出量削減への取り組み状況などを確認しています。アンケートの重要項目において「改善が必要」と判断した取引先様には改善支援を行っています。


ポリシーエンゲージメント

          

■業界団体を通じた活動

当社は、主に企業の工場で使用される「産業機械」を製造する企業が会員となっている日本産業機械工業会(JSIM)に参加しています。JSIMは2030年度目標として、2013年度比で国内生産活動におけるCO2排出量を10%削減することを掲げている中で、2013年度からの10年間でCO2排出量21.3%削減を達成しています(JSIM、「環境活動報告書2023」)。今後も地球規模での温暖化対策に貢献するため、積極的な省エネ活動や再エネの活用を進めていく方針を掲げています。
JSIMの加盟企業として、同工業会の環境委員会が実施する定期的な調査に協力し、エネルギー消費量やCO2排出量などの環境データ、およびCO2排出削減の取り組みに関する情報を提供しています。さらに、JSIMの環境委員会の活動に積極的に参加し、業界全体の環境負荷低減に向けた取り組みの推進に貢献しています。特に、当社の2030年度CO2排出量削減目標(2023年度比50%以上削減)は、JSIMの目標を上回る野心的なものであり、業界内での先進的な取り組み事例として情報共有を行っています。


脱炭素社会実現に貢献する製品・技術

          

■環境貢献型製品の開発と販売目標

当社グループでは、世の中の省エネやクリーンエネルギー活用のニーズに応えるべく、環境貢献型製品の開発と販売拡大に注力しています。2023年度の環境貢献型製品の売上高は26億円となり、2025年度には31億円、2030年度には60億円という目標を掲げています。これらの製品は、省エネルギー、省資源、長寿命化などの特長を持ち、お客様の事業活動における環境負荷低減に貢献します。今後も技術革新を進め、より高い環境性能を持つ製品の開発と市場投入を加速させ、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを強化していきます。


          

■主要な環境貢献型製品の紹介

当社グループの環境貢献型製品は、流体制御技術を活かした独自の特長を持ち、さまざまな産業分野で環境負荷低減に貢献しています。サーキュレーション製品の一つであるスイープエルボは、R形状流路による配管抵抗低減により、装置の省エネルギー化を実現します。EDPパッキンは高い気密性を実現し、国際規格や業界規格の厳しい要求に対応することで環境保全に貢献します。ガスシールは非接触構造による低動力消費と長寿命化により省エネルギー効果を発揮します。PSCCメカニカルシールは、内蔵するポンプ機能により別置きの循環機器が不要となり、年間14tのCO2排出量削減と70%の省スペース化を実現します。これらの製品は、お客様の設備や装置の環境性能向上に貢献するとともに、脱炭素社会の実現に向けた技術革新の一翼を担っています。今後も市場ニーズと環境課題を捉えた製品開発を推進し、環境貢献型製品のラインアップをさらに拡充していきます。


          

■シナリオ分析に基づく戦略的アプローチ

当社グループでは、TCFD提言に基づき実施したシナリオ分析の結果を踏まえ、気候変動がもたらすリスクと機会に対応するための戦略的アプローチを以下のように策定しています。これらのアプローチは、1.5℃~2℃シナリオと3℃~4℃シナリオの両方を考慮し、いずれのシナリオにおいても事業の持続可能性と競争力を維持・強化できる体制の構築を目指しています。今後も適時シナリオ分析を実施し、外部環境の変化に応じて戦略を見直していきます。


  • 【自動車市場向け製品戦略】
  • EVシフトによる内燃機関搭載車の減少に対応するため、以下の戦略を推進します。
  • •短期(~2025年):既存の排気系部品の性能向上・軽量化による競争力強化
  • •中期(~2030年):電気自動車等に適用可能な新製品の開発・投入の加速
  • •長期(~2050年):自動車の電動化に対応した製品ポートフォリオへの転換

  • 【エネルギー市場向け製品戦略】
  • 石油精製市場の縮小とクリーンエネルギー市場の拡大に対応するため、以下の戦略を推進します。
  • • 短期(~2025年):SAF精製プラント向け製品の販売強化、アンモニア市場での既存顧客基盤の活用
  • • 中期(~2030年):水素・アンモニア等のクリーンエネルギー向け製品の技術開発と市場開拓
  • • 長期(~2050年):クリーンエネルギー関連技術の開発と実証プロジェクトへの参画

投資計画

当社グループは、2050年度CO2排出量「実質ゼロ」実現に向けた移行計画を着実に実行するため、段階的かつ計画的な投資を行っていく方針です。気候変動対応への投資は、企業の持続的成長と社会的責任の両立を図る重要な経営課題と位置づけ、中長期的な視点で取り組んでいきます。

          

■投資項目の概要

                                                                                   
省エネルギー関連投資 高効率設備・機器への更新(生産設備、空調設備、照明設備等)
再生可能エネルギー関連投資
  • • 自家消費型太陽光発電設備の導入・展開
  • • オンサイトPPA・オフサイトPPAの推進
  • • CO2フリー電力調達の段階的拡大
研究開発投資 環境貢献型製品(省エネ貢献製品、カーボンニュートラル貢献製品)の開発強化

気候関連情報開示

当社グループは、気候変動に関するリスクと機会を適切に評価・管理し、経営戦略に反映させるとともに、ステークホルダーの皆様に対して透明性の高い情報開示を行うことが重要であると考えています。TCFD提言に基づく情報開示やCDPへの回答を通じて、気候変動への取り組みを積極的に発信し、ステークホルダーとの対話を促進しています。


■CDPスコア

2024年度はCDP質問書を通じて情報を開示し、「気候変動」と「水セキュリティ」の両分野において「B」スコア(マネジメントレベル)の評価を受けました。今後も気候変動および水資源保全に関する取り組みの高度化や開示強化を図り、環境関連の情報開示をさらに充実させていきます。

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